今年、2020年に入ってから、新しいレシピのオイルニスを開発するために実験を繰り返してきました。300年以上前にストラディヴァリなどが使っていたものになるべく近いニスが理想ですから、開発というよりは再発見と言ったほうが、しっくりきますね。
満遍なく塗られたニスがどのように経年変化で剥げていったり、薄くなったり、ヒビが入ったり、汚れていったりしたのかは、17~18世紀のイタリアで実際に使われていたニスの正体をつかむための重要なヒントになります。
そのため、新しく調合したニスを試す際にも、むらなく塗った後、経年変化を起こさせて、アマティやグァルネリ、ストラディヴァリのニスと同じ特徴が出るかを比べます。
こうすることで、ベタ塗りの状態ではわかりにくかった欠点や、名器のニスとの違いも文字通り見えてきます。
どうでしょうか?
もちろんニス自体の質だけではなく、木材に施された下地処理の効果もあるのですが、キラキラと輝くような反射の仕方や、木の良さを殺さずにそっと覆いかぶさるような質感など、かなり理想に近いニスが出来ました。
「詳しいことはわからないけど、何か綺麗だな」と、思っていただけると嬉しいです。
このニスを実際に使って仕上げている楽器はこちらになります。